混雑している駅などで前から衝突コースで人が歩いてくる。それをよけるのは結構難しい。
相手の歩き方を見つつ、ぶつからないようにコースを変える。すると、なにを思ったか相手もコースを変えて。慌てて避けようとしたら相手も同じことをして、結局ぶつかってしまう。なんてことは意外と多い。
前からきたのが物だったらこんなことは起こらないだろう。
相手が人の場合は、相手方もこちらの動きを常にモニターし、お互い相手の動きを予想して、それに応じて双方が行動を細かく調整する。
ここに人相手の間合いの取り方の難しさがよく表れている。
我々はややもすると、相手が人であっても、物であっても、外界にあるものは基本的に物理法則に従って動くとおもってしまう。だが、人通しの場合は、お互いがお互いの判断や行動に影響を与えあっているから、動きが予想外になる。
特に、問題となる間合いが物理的なものではなく、心理的な間合い(親しさや信頼、相手への気兼ねなど)であると、間合いの解釈、評価のズレが大きくなりやすいので、うまく調整するのは至難の業。
全てをきちっと想定内に収めてコントロールしようと思うと、こういう相互作用は困ったものだと思えてしまうけれども、相手に半分預けつつ、互いに意識し合いつつ間を合わせていく、これこそが生きた関係。それを味わい、楽しむ柔軟さ、余裕を大事にしていきたい。